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万葉の花
 
             万葉の花
 万葉の花
万葉集の和歌には160種の植物が詠み込まれていると言われています。豊かな自然が残る玉津島神社周辺には、多くの万葉植物があります。
※注意/植物保護の観点から、万葉植物の採取はしないでください。
 
  
01. 梅 ウメ
- 場所
- 奠供山登山道脇(植栽)
 (白梅)玉津島神社境内手水舎横(植栽)
 (紅梅) 玉津島神社拝殿右前(植栽)
 (鶯宿梅) 玉津島神社社務所付近(植栽)
- 見頃
- 花 初春(2月~3月)

万葉歌
春されば まづ咲く宿の 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ
山上憶良(筑前守) 巻五・八一八
【万葉歌口語訳】
春になると まず初めに咲く家の庭の 梅の花を ひとりで見ながら 春の日を暮らすことか

02. 桜 ヤマザクラ
- 場所
- 奠供山頂上付近(自生)
 (魁)鏡山山麓玉津島神社駐車場(植栽)
- 見頃
- 花 早春(3月)

万葉歌
山峡に 咲ける桜を ただ一目 君に見せてば 何をか思はむ
大伴池主 巻十七・三九六七
【万葉歌口語訳】
山あいに 咲いている桜を 一目だけでも あなたにお見せできたなら 何を不足に思いましょう

03. ソトオリヒメ桜
国立遺伝学研究所の故竹中要博士により育成された品種。玉津島社のソトオリヒメ桜は、竹中博士が育てた「遺伝研の桜」から接ぎ穂をゆずりうけたもの。なお境内には他にも花期が異なる桜が20種類以上植樹されており、春には順番に満開になる。


04. 久木 アカメガシワ
- 場所
- 奠供山(自生)
 鏡山北東麓(自生)
- 見頃
- 新葉(赤) 初夏(5月)

万葉歌
ぬばたまの 夜の更け行けば 久木生ふる 清き河原に 千鳥しば鳴く
山部赤人 巻六・九二五
【万葉歌口語訳】
(ぬばたまの)夜が更けてゆくと 久木の生い茂る 清い川原に 千鳥がしきりに鳴いているよ

05. 藤 フジ
- 場所
- 玉津島神社拝殿右前(藤棚)(植栽)
- 見頃
- 花(5月〜6月)

万葉歌
藤波の 花は盛りに なりにけり 奈良の都を 思ほすや君
大伴四綱 巻三・三三〇
【万葉歌口語訳】
藤の 花は今真っ盛りに なりました 奈良の都 恋しく思われているのではありませんか帥さま

06. つぎね フタリシズカ
- 場所
- 玉津島神社拝殿右(植栽)
- 見頃
- 花 初夏(5月〜6月)

万葉歌
つぎねふ 山背道を 他夫の 馬より行くに 己夫し 徒歩より行けば 見るごとに 音のみし泣かゆ そこ思ふに 心し痛し ・・・
作者未詳 巻十三・三三一四三
【万葉歌口語訳】
(つぎねふ)山城道を 他人の夫は馬に乗って行くのに わたしの夫は 歩いてゆくので 見るたびに泣けてきます そのことを思うと 心が痛みます ・・・

07. 茅花(茅)・茅花(茅) チガヤ
- 場所
- (自生)
- 見頃
- 花 夏(5月〜7月)

万葉歌
浅茅原 つばらつばらに 物思へば 古りにし里し 思ほゆるかも
大伴旅人(大宰帥、家持の父) 巻三・三三三
【万葉歌口語訳】
(浅茅原) つくづくと 物思いをしていると 明日香の古京が 思い出されることよ

08. あざさ アサザ
- 場所
- 玉津島神社社務所付近(植栽)
- 見頃
- 花 夏(5月〜8月)

万葉歌
・・・ 蜷の腸 か黒き髪に ま木綿もち あざさ結ひ垂れ 大和の 黄楊の小櫛を 押へ挿す うらぐはし児 それそ我が妻
作者未詳 巻十三・三二九五
【万葉歌口語訳】
・・・ (みなのわた)真っ黒い髪に木綿の緒で あざさを結いつけて垂らし 大和(郷)の 黄楊の櫛を押え挿している ほんとうに麗しい娘 それが私の妻なのです

09. 紅 ベニバナ
- 場所
- 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
- 花 夏(6月〜7月)

万葉歌
よそのみに 見つつ恋ひなむ 紅の 末摘む花の 色に出でずとも
作者未詳 巻十・一九九三
【万葉歌口語訳】
遠目にばかり 見ながら恋し続けよう 紅の 末摘花のように目立たなくても

10. 楝 センダン
- 場所
- 玉津島神社鳥居右脇(植栽)
- 見頃
-  花 初夏(6月〜7月)
 実 秋冬

万葉歌
妹が見し 楝の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくに
山上憶良(筑前守) 巻五・七九八
【万葉歌口語訳】
妻が見た 楝の花は もう散ってしまいそうです わたしの泣く涙は まだ乾かないのに

11. 橘 ヤマトタチバナ
- 場所
- 玉津島神社社務所付近(植栽)
- 見頃
-  花 初夏(6月〜7月)
 実 冬(12月〜4月)

万葉歌
橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜置けど いや常葉の木
聖武天皇 巻六・一〇〇九
【万葉歌口語訳】
橘は 実まで花まで その葉まで 枝に霜が置いても いよいよ栄える常緑の木である

12. いはゐつら スベリヒユ
- 場所
- 玉津島神社鳥居右脇(自生)
- 見頃
- 花 初夏(6月〜8月)

万葉歌
入間道の 大屋が原の いはゐつら 引かばぬるぬる 我にな絶えそね
東歌(武蔵国歌) 巻十四・三三七八
【万葉歌口語訳】
入間道の 大屋が原の いわいつらのように わたしが引いたならば、ほぐれてずるずると付いてきて、わたしとのことを切らないでおくれ

13. 月草 ツユクサ
- 場所
- 鏡山西麓(自生)
- 見頃
- 花 夏(6月〜9月)

万葉歌
月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ
作者未詳 巻七・一三三九
【万葉歌口語訳】
月草で 衣を染めて 摺ろうと思うが 変わりやすい色だと ひとびとがいうのがつらい

14. 忘れ草 ヤブカンゾウ
- 場所
- 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
- 初夏 初秋(7月)

万葉歌
忘れ草 垣もしみみに 植ゑたれど 醜の醜草 なほ恋ひにけり
作者未詳 巻十二・三〇六二
【万葉歌口語訳】
忘れ草を 垣までびっしりと植えたけれど 能無し草め やっぱり恋しくて忘れられない

15. ときじきふぢ ナツフジ
- 場所
- 鏡山北東麓(自生)
- 見頃
- 花 夏(7月〜8月)

万葉歌
我がやどの 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が笑まひを
大伴家持(万葉集編纂者) 巻八・一六二七
【万葉歌口語訳】
我が家の庭の 時ならぬ(季節外れの)藤のように 目づらしく 今も見たいものです あなたの笑顔を

16. 浜木綿 ハマユウ
- 場所
- 玉津島神社鳥居右脇(植栽)
 鏡山東麓(植栽)
 玉津島神社南参道鳥居右脇(植栽)
- 見頃
- 花 夏(7月〜8月)

万葉歌
み熊野の 浦の浜木綿 百重なす 心は思へど ただに逢はぬかも
柿本人麻呂 巻四・四九六
【万葉歌口語訳】
み熊野の 浦の浜木綿のように 百重にも 心では思っているけれど 直には逢えないことだ

17. なでしこ カワラナデシコ
- 場所
- カワラナデシコ 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
- 花 初秋(7月〜9月)

万葉歌
我がやどに 蒔きしなでしこ いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む
大伴家持(万葉集編纂者) 巻八・一四四八
【万葉歌口語訳】
我が家の庭に 蒔いたなでしこはいつになったら 花が咲くのだろうか 咲いたらあなたと思って眺めよう

18. 葛 クズ
- 場所
- クズ 鏡山東麓(自生)
- 見頃
- 花 初秋(8月〜9月)

万葉歌
ま葛原 なびく秋風 吹くごとに 阿太の大野の 萩の花散る
作者未詳 巻十・二〇九六
【万葉歌口語訳】
葛原を 靡かせる秋風が 吹くたびに 阿太の大野の 萩の花が散る

19. たで タデ類 (イヌタデ・ヤナギタデ)
- 場所
- イヌタデ 鏡山西麓(自生)
 ヤナギタデ 鏡山西麓(自生)
- 見頃
- 花 秋(8月〜10月)

万葉歌
我がやどの 穂蓼古幹 摘み生ほし 実になるまでに 君をし待たむ
作者未詳 巻十・二七五九
【万葉歌口語訳】
我が家の庭の 穂蓼の古株を摘んで、生やして また、実になるまでまでの長い間 あなたを待ちましょう

20. 朝顔 キキョウ
- 場所
- 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
- 花 秋(8月〜10月)

万葉歌
朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲き増さりけれ
作者未詳 巻十・二一〇四
【万葉歌口語訳】
朝顔は 朝露を浴びて 咲くというけれども この朝顔は夕陽を浴びて 咲き優っていることよ

21. をみなへし オミナエシ
- 場所
- オミナエシ 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
- 花 初秋(8月〜10月)

万葉歌
手に取れば 袖さへにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも
作者未詳 卷十・二一一五
【万葉歌口語訳】
手に取ると わたしの袖までも染まってしまう おみなえしがこの白露に 散ってしまうのが惜しい

22. 尾花・すすき ススキ
- 場所
- ススキ 奠供山頂上(自生)
 ススキ(ヤハズススキ) 東参道(植栽)
- 見頃
- 花 秋(9月〜10月)

万葉歌
秋付けば 尾花が上に 置く露の 消ぬべくも我 思ほはゆるかも
日置長枝娘子 巻八・一五六四
【万葉歌口語訳】
秋らしくなってくると 尾花の上に 置く露が消え入るように 心痛で消え入らんばかりにわたしは 思われます

23. 萩 ヤマハギ、ハギ
- 場所
- ヤマハギ 奠供山頂上(自生)
 マルバハギ 東参道(植栽)
- 見頃
-  花 秋(9月〜10月)
 黄葉 晩秋(11月)

万葉歌
草枕 旅行く人も 行き触れば にほひぬべくも 咲ける萩かも
笠金村(かさのかなむら) 巻八・一五三二
【万葉歌口語訳】
(草枕)旅行く人も 行きずりに触れてしまったら 色が移り染まらんばかりに 咲いている萩であることよ

24. かづのき ヌルデ
- 場所
- 鏡山東北麓(自生)
- 見頃
- 紅葉 秋(10月〜11月)

万葉歌
足柄の 和乎可鶏山の かづの木の 我をかづさねも かづさかずとも
東歌(相模国歌) 巻十四・三四三二
【万葉歌口語訳】
足柄の 和乎可鶏山の かづのきではないが わたしをかどわかしてくだしね かづさがずとも

25. かへるて イロハカエデ
- 場所
- 玉津島神社社務所付近(植栽)
- 見頃
-  花 春(4月)
 紅葉 秋(10月〜11月)

万葉歌
子持山 若かへるての もみつまで 寝もと我は思ふ 汝はあどか思ふ
東歌 巻十四・三四九四
【万葉歌口語訳】
子持山の 楓の若い葉が 紅葉するまでの長い間 お前と寝ようとわたしは思うが お前はどう思う

26. ぬばたま ヒオウギ
- 場所
- 玉津島神社拝殿左脇(植栽)
- 見頃
-  花 夏(7月〜8月)
 実 秋(10月〜11月)

万葉歌
居明かして 君をば待たむ ぬばたまの 我が黒髪に 霜は降るとも
磐姫皇后(仁徳天皇の皇后) 巻二・八九
【万葉歌口語訳】
夜が明けるまで寝ないで 君を待ちましょう ( ぬばたまの) わたしの黒髪に霜が降ろうとも

27. 玉箒 コウヤボウキ
- 場所
- 奠供山登山道(自生)
- 見頃
- 花 晩秋(11月)

万葉歌
初春の 初子の今日の 玉箒 手に取るからに 揺らく玉の緒
大伴家持(万葉集編纂者) 巻二十・四四九三
【万葉歌口語訳】
新年の 初子の今日の 玉箒 手に取るだけで ゆらゆらと揺すられて鳴る玉の緒よ

28. 柏 かしわ
- 場所
- 玉津島神社拝殿裏(植栽)
- 見頃
- 黄葉 秋〜冬(11月〜3月)

万葉歌
印南野の あから柏は 時はあれど 君を我が思ふ 時はさねなし
安宿王(播磨国守) 巻二十・四三〇一
【万葉歌口語訳】
印南野の 赤い柏の葉は 時のきまりはありますが 大君をわたしが敬慕することは 時のきまりは全くありません

29-a. 御綱柏 カクレミ
- 場所
- 奠供山東麓(自生)
 鏡山東麓(自生)
- 見頃
- 年中

万葉歌
・・・ 三十年の秋九月、乙卯の朔の乙丑に、皇后、紀伊国に遊行きて、熊野の岬に至り、その処の御綱葉を取りて還る。
磐媛皇后(仁徳天皇の皇后) 巻二・九十 左注
【万葉歌口語訳】
・・・ (仁徳天皇の)三十年の秋九月一日、皇后は紀伊国に旅行し、熊野の岬まで行って、そこのみつながしわを採って帰った。

29-b. 御綱柏 オオタニワタリ
- 場所
- 玉津島神社拝殿左前(植栽)
- 見頃
- 年中

万葉歌
・・・ 三十年の秋九月、乙卯の朔の乙丑に、皇后、紀伊国に遊行きて、熊野の岬に至り、その処の御綱葉を取りて還る。
磐媛皇后(仁徳天皇の皇后) 巻二・九十 左注
【万葉歌口語訳】
・・・ (仁徳天皇の)三十年の秋九月一日、皇后は紀伊国に旅行し、熊野の岬まで行って、そこのみつながしわを採って帰った。

30. さかき サカキ
- 場所
- 玉津島神社(植栽)
- 見頃
- 年中

万葉歌
・・・ 奥山の さかきの枝に しらか付け 木綿取り付けて 斎瓮を 斎ひ掘り据ゑ 竹玉を しじに貫き垂れ ・・・
大伴坂上郎女(大伴家持の叔母の女流歌人) 巻三・三七九
【万葉歌口語訳】
・・・ 奥山でとってきた さかきの枝にしらかを付け 木綿を取り付けて 斎い甕を 丁重に地面を掘って据え 竹玉を緒で隙間なく貫き垂らして ・・・

31. しだ草 ノキシノブ
- 場所
- 鏡山(自生)
 玉津島神社(自生)
- 見頃
- 年中

万葉歌
我がやどは 甍しだ草 生ひたれど 恋わすれ草 見るにいまだ生ひず
作者未詳 巻十・二四七五
【万葉歌口語訳】
わたしの家には 屋根のしだ草は 生えているけれど 恋わすれ草は 見ているが未だ生えていない

32. 松 マツ
- 場所
- 奠供山、鏡山(自生)
 玉津島神社南参道
 玉津島神社境内(植栽)
- 見頃
- 年中

万葉歌
岩代の 浜松が枝を 引き結び ま幸くあらば またかへり見む
有間皇子(孝徳天皇の皇子) 巻二・一四一
【万葉歌口語訳】
岩代の 浜松の枝を 引き結んで 幸い無事でいられたら また立ち帰って見よう

33. 根上り松
根上りの松とは、根元にあった砂が海風で吹き飛ばされ、長い年月の間に根が露出したもの。鎌倉時代や室町時代、玉津島社に社殿も鳥居もなかった時代、この地にも根上り松の巨木があり、是を玉津島明神の神霊の宿る寄坐として和歌を奉納、絵馬をかけ礼拝なされた(『慕帰絵詞』等)。


34. 児手柏 このてがしわ
- 場所
- 玉津島神社(植栽)
- 見頃
- 年中

万葉歌
奈良山の 児手柏の 両面に かにもかくにも 佞人が伴
消奈行文(博士) 巻十六・三八三六
【万葉歌口語訳】
奈良山の このてがしわのようにあっちこっちにいい顔をして いずれにしても 奸佞の徒(おもねりへつらう人)だ
 
			
		 
		

















 
  
















 
  
  
  
  
 