三十六歌仙
「歌仙」として崇敬された三十六人の像を描き、その詠歌を書き添えた絵額
三十六歌仙仙額
「歌仙」として崇敬された三十六人の像を描き、その詠歌を書き添えた絵額。
本品は、紀州藩御用絵師狩野興甫(かのう こうほ)の絵で、詠歌は当時の公家衆三六人が一点ずつ筆を執った。
公家衆の姓名・官職を書いた付札は、紀州藩の儒臣李梅渓(り ばいけい)の筆になる。
万治三年(1660)藩主徳川頼宣公(1602~71)が、歌仙殿(拝殿)を建て、その中に奉納したもの。
江戸時代前期の絵額の三十六歌仙絵としては、保存もよく、優品のうちに数えられる。
(和歌浦 玉津島神社 和歌山県立博物館)
- 詠
-
柿本人麿
万葉集の代表歌人。名は「人麻呂」とも表記される。後世、山部赤人とともに歌聖と呼ばれ、歌道の世界で歌神と崇められる。
- 書
-
二条関白光平公
江戸時代前期の公家。摂政二条康道の子。正室は賀子内親王(後水尾天皇第六皇女、明正天皇同母妹)。
- 詠
-
紀貫之
平安時代前期の歌人。『古今和歌集』の撰者の一人。紀友則は従兄弟にあたる。
延喜五年(905)、醍醐天皇の命により初の『古今和歌集』を紀友則らと共に編纂し、仮名による序文である仮名序を執筆した。日本文学史上において、少なくとも歌人として最大の敬意を払われてきた人物である。『土佐日記』の作者。 - 書
-
徳大寺右大臣公信公
江戸時代初期から前期の公卿。後水尾天皇から霊元天皇に至るまでの五帝にわたって仕えた。
- 詠
-
凡河内躬恒
平安時代前期の歌人、『古今和歌集』撰者の一人。官人。三十六歌仙の一人。官位は低かったものの、古今和歌集の五十八首をはじめとして勅撰和歌集に一九四首入集するなど、宮廷歌人としての名声は高い。
- 書
-
八条宮忠仁親王
江戸時代前期の皇族。八条宮(桂宮)第二代。後に智忠親王と改称する。
和歌、書道に秀でていた。最大の功績は桂離宮を後世に伝える上で基礎を築いたことである。
- 詠
-
伊勢
平安時代の女性歌人。女房三十六歌仙の一人。伊勢の御(いせのご)、伊勢の御息所(みやすんどころ)とも呼ばれた。
- 書
-
二条前摂政康通公
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
大伴家持
奈良時代の貴族・歌人。大納言・大伴旅人の子。小倉百人一首では中納言家持。『万葉集』の編纂に関わる歌人として取り上げられることが多い。大伴氏は大和朝廷以来の武門の家であり、律令制下の高級官吏として歴史に名を残す。天平の政争を生き延び、延暦年間には中納言まで昇った
- 書
-
照高院道晃法親王
江戸時代前期の公卿。茶道、書画、和歌をよくした。
- 詠
-
山部赤人
奈良時代の宮廷歌人。柿本人麻呂とともに歌聖と呼ばれ称えられている。
- 書
-
梶井宮慈胤法親王
江戸時代前期の公卿。御陽成天皇の第十五皇子。
清宮と称し、常修院と号する。三度天台宗座主に補せされる。茶道・花道に通暁し、書も能くする。
- 詠
-
在原業平朝臣
平安時代初期の貴族・歌人。
六歌仙の一人。平城天皇の孫。『伊勢物語』は、在原業平の物語であると古くからみなされてきた。 - 書
-
曼殊院良尚法親王
曼殊院門跡二十九世。後水尾天皇の猶子となる。天台座主・二品に叙せられ、大阿闍梨となる。書画・詩文・茶花を能くした。
- 詠
-
僧正遍昭
平安時代前期の僧・歌人。
桓武天皇の子である大納言・良岑安世の八男。母は光孝天皇の乳母とする説がある。子に素性法師がいる。六歌仙の一人。 - 書
-
実相院前大僧正義尊
江戸前期の実相院門跡。足利義尋(あしかがぎじん)の男、義昭の孫。
- 詠
-
素性法師
平安時代前期から中期にかけての歌人・僧侶・能書家として知られる。桓武天皇の曾孫。
- 書
-
円満院前大僧正常尊
江戸初期の天台宗の僧。円満院三十三世門跡。足利義昭の孫。幼少より円満院に入り同院を再興する。明正天皇の護持僧。
- 詠
-
紀友則
平安時代前期の歌人。『古今和歌集』撰者の一人。官人。父は宮内権少輔紀有友(有朋)。子に清正・房則がいる。紀貫之の従兄弟にあたる。
- 書
-
随心院前大僧正栄厳
江戸時代前期の僧侶。
- 詠
-
猿丸大夫
「猿丸」は名、大夫とは五位以上の官位を得ている者の称。古今集では「よみ人しらず」。
- 書
-
西園寺前右大臣実晴公
江戸時代前期の公卿。礼学・絵画を好み、左大臣まで上った。正室は細川忠興とガラシャの子の細川忠隆の長女・徳姫。
- 詠
-
小野小町
平安時代前期九世紀頃の女流歌人。六歌仙、女房三十六歌仙の一人。『古今和歌集』序文において、紀貫之は、彼女の作風を、『万葉集』の頃の清純さを保ちながら、なよやかな王朝浪漫性を漂わせているとして絶賛した。
- 書
-
鷹司内大臣房輔公
江戸時代の公卿。父は鷹司教平。母は冷泉為満女。側室は毛利秀就の娘・竹。兄弟には鷹司信子、鷹司房子、九条兼晴。子に鷹司兼熙、西園寺実輔(西園寺安姫の婿に入る)、鷹司輔信、一条兼香がいる。
- 詠
-
兼輔朝臣
右中将利基の子。勅撰集入集歌人。紫式部は曾孫にあたる。紀貫之・凡河内躬恒ら歌人と親しく交流し、醍醐朝の和歌隆盛期を支えた。鴨川堤に邸宅を構えたので、堤中納言と通称された。
- 書
-
大炊御門前内大臣経孝公
江戸時代前期の公卿。後水尾天皇(一〇八代)から霊元天皇(一一二代)の四代にわたって仕え、官位は従一位左大臣まで昇った。
- 詠
-
中納言朝忠
平安時代中期の公家・歌人。(土御門中納言・三条中納言とも。) 小倉百人一首では中納言朝忠。
- 書
-
転法輪前内大臣公富公
江戸時代前期の公卿。 おもに明正天皇・後光明天皇・後西天皇・霊元天皇 の四代にわたって仕える。
- 詠
-
中納言敦忠
藤原敦忠(ふじわらのあつただ)。平安時代中期の公家・歌人。
管絃にも優れていた。小倉百人一首では権中納言敦忠 - 書
-
久我右大将広道卿
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
藤原高光
平安時代中期の歌人。右大臣・藤原師輔の八男。
- 書
-
日野大納言弘資卿
江戸時代前期の公卿(くぎょう)、歌人。日野光慶(みつよし)の子。祖父日野資勝、中院通茂(なかのいん・みちしげ) にまなび、後水尾(ごみずのお) 上皇から古今伝授をうける。
- 詠
-
源公忠朝臣
平安時代前期に活躍した歌人。公忠は、光孝天皇の皇孫源国紀の子息で、醍醐天皇・朱雀天皇に蔵人として仕え、太政大臣藤原忠平らの信任も得ていた。
作風は穏やかで、勅撰集に私家集から多数入集している。 - 書
-
柳原大納言資行卿
江戸時代前期の公卿。茂光の男。権大納言従一位。延宝七年(1679)歿、六〇才。
- 詠
-
壬生忠岑
平安時代前期の歌人。『古今和歌集』撰者の一人。
後世、藤原定家、藤原家隆から『古今和歌集』の和歌の中でも秀逸であると作風を評価されている。藤原公任の著した『和歌九品』では、上品上という最高位の例歌として忠岑の歌があげられている。 - 書
-
烏丸大納言資慶卿
江戸時代前期の公家・歌人。烏丸家十一代当主であり、家格は名家。
- 詠
-
斎宮女御
平安時代時代中期の皇族、歌人。斎宮を退下の後に女御に召されたことから、斎宮女御と称された。条坊三十六歌仙の一人。皇族歌人である斎宮女御は、後の歌仙絵の中でも際立った存在感を示している。
- 書
-
飛鳥井大納言雅章卿
江戸時代前期の公家・歌人。飛鳥井家の家学である和歌に秀で、後水尾天皇の歌壇で活躍、明暦三年(1657)には後水尾院から古今伝授を受けた。また蹴鞠・書にも秀でていた。
- 詠
-
大中臣頼基朝臣
大中臣能宣の父。伊勢神宮の祭主。
- 書
-
中御門大納言宣順卿
江戸時代前期の公家。中御門家は、名家の家格を有する公家。
- 詠
-
藤原敏行朝臣
平安時代初期の歌人、書家。
小野道風が古今最高の能書家として空海とともに名を挙げた。 - 書
-
清閑寺中納言熈房卿
江戸時代前期の公卿、廷臣。明正天皇・後光明天皇・後西天皇・霊元天皇の四朝にわたって仕えた。
- 詠
-
源重之
平安時代中期の歌人。
- 書
-
油小路中納言隆貞卿
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
源宗于朝臣
平安時代前期から中期にかけての官人・歌人。光孝天皇の孫。
- 書
-
園中納言基福卿
江戸時代前期の公卿。霊元天皇の伯父にあたる人物。主に明正天皇から東山天皇までの五帝にわたり仕えた廷臣。
- 詠
-
源信明朝臣
平安時代中期の官人・歌人。光孝天皇の裔。
- 書
-
中院中納言通茂卿
江戸時代前期から中期の公卿。歌人としても名高い。歌道・有職故実・書道・音楽など多方面に博識な人物である。水戸藩主徳川光圀とも深い親交があった。
- 詠
-
藤原清正
平安時代中期の貴族・歌人。兼輔朝臣の子。
- 書
-
持明院前中納言基定卿
江戸時代前期の公卿。高家旗本・大沢基宿の二男。
- 詠
-
源順
平安時代中期の学者・歌人。『後撰和歌集』の撰者の一人。
- 書
-
籔中納言嗣孝卿
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
藤原興風
平安時代の官人・歌人。官位は低かったが古今和歌集の時代における代表的な歌人。管絃をよく奏じた。
- 書
-
六条参議有和卿
六条家十二代当主。江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
清原元輔
平安時代前期の歌人・官人。深養父の孫、娘に清少納言がいる。『後撰和歌集』の撰者の一人。
- 書
-
東園参議基賢卿
江戸時代前期の公卿(くぎょう)。
- 詠
-
坂上是則
平安時代前期から中期にかけての官人・歌人。宮中の仁寿殿において醍醐天皇の御前で蹴鞠が行われ、そのとき二百六回まで続けて蹴って一度も落とさなかったので、天皇はことのほか称賛して絹を与えたという。蹴鞠の名手。
- 書
-
千種前参議有能卿
江戸時代前期の公卿。後西天皇から東山天皇の三代にわたり仕えた。
- 詠
-
藤原元真
平安時代中期の歌人。
- 書
-
白川三位神祇伯雅喬王
神祇伯。
- 詠
-
三条院女蔵人左近
平安時代中期、三条天皇に女蔵人として仕える。通称は「左近」。「小大君」は「こだいのきみ」と読む説もある。女房三十六歌仙の一人。
- 書
-
平松三位時量卿
江戸時代中期の公卿。
- 詠
-
藤原仲文
平安時代中期の歌人。
- 書
-
裏松三位資清卿
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
大中臣能宣朝臣
平安時代中期の貴族・歌人。『後撰和歌集』の撰者の一人。
神祇大副・大中臣頼基の子。伊勢神宮祭主。 - 書
-
花山院中将定誠朝来
江戸時代前期の公卿。主に霊元天皇、東山天皇に仕えた。
- 詠
-
壬生忠見
平安時代中期の歌人。壬生忠岑の子。幼名は名多、父とともに三十六歌仙の一人に数えられる。
- 書
-
勘解由小路中将資忠朝臣
江戸時代前期の公家・歌人。
- 詠
-
平 兼盛
平安時代中期の歌人。光孝天皇の裔。赤染衛門の父ともいわれる。
- 書
-
飛鳥井中将雅直朝臣
江戸時代前期の公卿。
- 詠
-
中務
平安時代中期の女流歌人。女房三十六歌仙の一人。
父は宇多天皇の皇子、敦慶親王で、親王が中務卿であったことから、この名がついている。母は、女流歌人の伊勢。 - 書
-
愛宕中将通福朝臣
江戸時代中期の公卿。愛宕家の祖。